2019/04/07 19:23
スウェーデンの素敵な習慣である「FIKA(フィーカ)お茶の時間」を広めようとのんびり活動しています。
FIKA(フィーカ)とは、家族や友達、同僚などと、
午前中と午後の昼過ぎの1日に2回、
休日や仕事中などに、コーヒー(紅茶)を飲みながら休憩することを言います。
ただし、単なる「休憩」というよりも、スウェーデン人にとっては、
暮らしの質を高めるための、なくてはならない「お茶の時間」。
シナモンロールやペストリー、クッキーなどの甘いものをお供に、
会話を楽しみ、ゆったりとしたひとときを十分に満喫します。
私たちが、FIKA(フィーカ)が日本でも広がったらいいなと思ったきっかけがふたつあります。
ひとつは、Swedish-American のライター、Anna Bronesが書いた「fika」というとても素敵な本に、
スウェーデンのフィーカについて印象的な文章があったこと。
少し引用させていただきます。
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世界の多くの都市で、コーヒーは ”スピード”と関連性がある飲み物のように思えます。
例えば、朝、目を覚ますために眠い目をこすりながら飲む、
通勤途中でカフェラテをテイクアウトして、ペーパーカップ片手にオフィスに入る、
午後の眠くなってきた時間には、眠気覚ましにオフィスのコーヒーポットに手を伸ばす、
仕事の効率を良くするために、カフェインで頭を働かせる‥‥。
人々は、”スピードアップ”を求めて、コーヒを飲む機会が多いのではないでしょうか。
スウェーデンでのコーヒーは、その反対で、
1日のなかで「ひと休み」するという意味が込められています。
スピードアップではなく、「スローダウン」するためのフィーカです。
コーヒーを飲むことは、今している作業などから完全に離れて、シンプルに休憩を楽しむということ。
フィーカは、人生を楽しむための時間を作ることの大切さを象徴しているのです!
Anna Brones & Johanna Kindvall
「fika 」The Art of the Swedish Coffee Break
Published by TEN SPEED PRESS
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スウェーデン人のフィーカは、午後に自分を元気づけるためだけにするわけではありません。
「ゆったりと暮らすこと」の良さを感じる時間でもあるのです。
本当のフィーカをするには、毎日のルーティーンワークに追われる日常の中で、
いかにゆっくりできる時間を自分の1日に組み込むのか、きちんと考えなければならないかもしれません。
フィーカは、他のやらなければならないすべてのことを一旦サイドに置いてみる、そんな時間なのです。
Anna Brones & Johanna Kindvall
「fika 」The Art of the Swedish Coffee Break
Published by TEN SPEED PRESS
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もうひとつは、スウェーデンの実家に帰った時などにいつも感じる、
スウェーデン人がとても自然にスローライフを謳歌していることへの驚き。
きっとスウェーデン人は、スローライフに過ごすなんて、意識していないと思いますが、
スウェーデンに行くと、なんだか時間の流れがゆっくりで、自分のなかで余裕が生まれてくるのがわかります。
旦那さんの実家に行くと、山で採ったキノコや摘んだベリー、手作りのいちごジャム、
知り合いの庭に生えてるルバーブで作ったジャム、
親戚が家でスモークしたサバ、などがテーブルに並びます。
芝生の広いお庭には、綺麗なお花が咲いていて、
りんごの木には、小さなりんごの実がたわわになっています。
物語の中の1ページのような情景ですが、これが本当に日常にあるシーン。
自然の恵みを生活に取り込んで、五感で味わうことの大切さに、毎回はっと気付かされます。
もちろん毎日欠かさずフィーカもします。
よく手作りのお菓子が登場。
大きなオーブンでケーキやクッキーを焼いている間の香ばしい匂いは人を幸せにさせます。
家などのくつろげる空間で、家族や親戚、友達などと過ごす時間を大切にして、
目の前にいる人たちときちんと交流する。
こんな普通のことにも「特別な何か」を感じるのは、
居住空間の温かな雰囲気と、スウェーデン人の持つ穏やかさが関係しているのでしょうか。
スウェーデンのスローライフをそのまま取り入れることはちょっと難しいですが、
例えば、東京にいても、FIKA(フィーカ)をすることはできそうな気がしました。
スウェーデンの薫り高いコーヒーや紅茶を飲んで、
今のこのお茶の時間をゆったり楽しむ、
そんなフィーカが多くの人にできたらいいなと願っています。
Fikahuset